1999年のこと 10
前からなんとなく感じていたけどここ大井に集まってくる人たちは大井的プライドをもっているような気がする。
中央の馬達を力でねじ伏せたように
交流競争で中央からやってくる強豪たちを
地元の馬が負かしてくれるって思っていたり
そのくせ中央落ちして転厩してきた馬がまた、中央に戻ったら
その馬を応援しちゃう。
一度大井の砂を被ったらもう家族。
だけど馬券は意外とシビアだったり。
中央落ちの転厩初戦なんかは
◎ぜんぶ持っていく。
1倍台のオッズだったりするのは
あたり前。それはそれ、これはこれ的な。
その辺が東京の冷たさだったり、
下町の温さだったり。それが大井競馬。
今日の私の軍資金は2万3千円。
これを、どうにかメインの東京大賞典までに増やして有馬で失った30万を・・・・
いやそれ以上を狙えう。
あと2日で地球が滅亡するその前に、
なんとか大人な豪遊がしたい。
とりあえず勝負レースをしぼるべく
新聞を開く。
第1レースは3才馬レース(旧馬齢現2才)
1500m混合
牝馬の逃げ馬に印が集中。
これはおいしい!
この牝馬は安定してた先手をとり
逃げれる馬だ。私は知っている。
ここ大井や浦和、川崎では
先手を取った馬がそのまま逃げきることや
先行して勝ちきるのがほぼ80%なのだ。
言い切ったがこれは完全に私の感覚だが。
小回りコースなのでどれだけロスなく
コーナーをまわるかでレースがきまるのだ!
そうどっかで聞いた・・。
これは1Rから勝負できるな!
そう思い新聞に自分の軸馬に赤ペンで丸を
つけながらパドックヘ。
今日は天気がいいけど、風が冷たい。
馬たちが周回を繰り返している。
早くも川上さん馬を見ている。
「どうですか?いい馬いました?」って
声をかけるとフルカラーに
なった新聞をみながら
「こりゃー買う馬2頭しかいねーなっ」
っと新聞をぺンで指さしながら
馬に視線を送る。その視線の先には
あの逃馬牝馬ともう一頭はペンが指している
大井の帝王 的場文男。
Гこの2頭の牝馬できまり!」
川上さんは、
的場文男に絶対の信頼を置いている。
それを抜きにしてもパドックでは
キビキビ動いている。
1レース目だし川上さんにのってみるか!
軸馬は安定感のある1番人気の逃げ馬、
的場文男の馬は差し馬で
前走も2着にきてる現在3番人気。
かたいかな~つかねーだろなー
オッズを見ると馬連8倍!!
Гけっこ~つくなっおい!!」
って声に出ちゃうくらいあがって
馬連を2000円も購入。
もちろん1点買い!
当たれば1万6千円!いや当たる!
締め切り5分前の音楽がなる。
もう馬券買ってるけどこの音聞くと
ソアソアする・・・
そしておしっこ行きたくなる。
「ゲートイン」の予想も、
同じだ!いける!
安心してトイレに・・・
そして
しめきりベルが鳴る・・
地球滅亡まであと2日
つづく