1999年のこと 22


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1999年12月30日PM3:00
神奈川県座間市
自分の部屋。ベッドの上。

天井に大好きな木村佳乃のポスター。
それを見つめながら・・・

 

昨日大井町のとんかつ丸八での
川上さんとの時間を思い出している。
東京大賞典の払い戻しの後、
最終レースをやらずに
大井競馬場をあとにした。
送迎バスで大井町へ。


大井町のとんかつ丸八のカウンターで
瓶ビールとつまみに

ヒレカツと串カツとトマトサラダを
注文、小さな祝勝会!!

 

 

川上さんは生ビールより瓶ビール派らしい。
「瓶ビールはうらぎらない。
生ビールは各店によって
バランスが安定しない」らしい・・。

 

この辺にも川上さんのブレない
こだわりがみえる。

 

ビールが来た。

すぐに川上さんが受け取り私に
「おめでとさん!
今日はごちそうになるよ!」っと云って
私にビールの注ぎ口をむけてついでくれた。

あぁ~
自分が先につがなくてはいけなかったのに
まだまだな自分。
できる大人にないたい。

 

「おつかれさ~ん!かんぱーい!」

川上さんはその日の競馬新聞を
捨ないで必ず持ち帰る。
それを見がら今日の反省会。
川上さん今日の収支プラス6000円!
さすが、安定感がちがう。
500円を毎レース買うのにプラスで
終えられるのて本当にすごい!!

 

私みたいな捨て身の賭け方では、
身を滅ぼす。自分でもわかってる。
地球がなくなるって思ってなければ
こんな賭け方はしないしできないと思う。

今日たまたま、うまく行ったけど。

 

しかし、まさか、
今日一日でこんなに川上さんと
距離が縮まるとは思わなかった。
ってか名前聞こう。

「俺 ? くぼたはるお」

やはり、川上じゃないよなっ!

おいくつなんですか?

「歳?68才

独身ってかバツ1ってやつだぁ~うはははぁ」

お世辞じゃなくもう少し若くみえる。
話してみると川上さんは、
自分で運送会社を経営していたらしく、
人も使いながらやっていたけど、
10年前奥さんと離婚。
それと同時に一人息子にゆずって、セミリタイア。
お中元やお歳暮の時期は手伝っているらしいけど。
今は大井競馬と孫と釣りにいくのが
楽しみだっと笑顔で語っていた川上さん。

けっこう話した。

 

 

こんな大人にになりたい。
金持ちもいいけど、
自分の身の丈にあった生活、人生。
すごく、うらやましい!
なにより本当ににっこにこで楽しそう!

 

川上さんみたいな競馬人になりたい。
ギャンブルって聞こえは悪いし、
なんかいけない事をしてる罪悪感すら感じさせる。
でも、誰一人川上さんの競馬ライフを
否定できないだろう。
あの笑顔にふれたら。

 

 

私は勇気を出して
「あと2日で地球なくなるって思ってるんですけど、どう思いますか?」ってたずねた。

 

川上さんは急に真顔になって

「世紀末だろっそうなんだよなー。
だから今を一生懸命生きるしかないベー。」

って言ってつづける。

 

「おいさんは毎日そう思って生きてるよ。
さっきも言ったけど、金は運だ。命もそう。
友だちも何人か死んじまったけど、
本当に運だ。働いた金もそう。
自分の時間を運に変えてるにすぎない。
その運を使って馬券を買う。
当たればまた運が増える。
それをまた一頭の馬にのせて自分の運をためす。
運のやりとりの繰り返しだ。
その運をわけてもらって
ビールを飲ませてもらってるわけだが、
うはははぁ・・。」

 

ドクンっ

 

自分の中の何かが弾けたような気がした。
そのことを思い出してむかえた
1999年12月30日夕方。

 

 

 

地球滅亡まであと1日
つづく